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2015年03月

        

相続(2)

category - 花  庭
2015/ 03/ 19
                 
相続に「繰り越し」なし 安易な妥協は禁物


父の遺産と 母の遺産は 別々の個人に属するもの。「今回は譲って、
次の相続で……」という勘定合わせの発想は法律上は通用しない


 しかし、この勘定合わせは3人の口約束レベルでは成り立ったとしても、
相続のルール上はとても不安定なものです。父の遺産と母の遺産は


まったく別々の個人に属するもので、それぞれが亡くなって発生する
相続の間には「貸し借り」や「繰り越し」はないからです。


つまり父の遺産相続でA男の取り分が多かろうが少なかろうが、
それが相続人全員で合意した結果であれば、後に訪れる母の遺産相続で


当時の事情を考慮する必要はないのです。
 逆にいえば、父の遺産相続で合意したB子の取り分がどうであれ、


母のときの遺産相続には影響しないということです。
父の遺産をもらいすぎていようが足りなかろうが、B子の権利は


その相続を終えた時点でいったん「リセット」されるような形になり、
母の遺産についても過不足なく相続権が生じることになります。


 もらいすぎた相続人が負い目やプレッシャーを感じる可能性は
あるでしょう。しかしそれは相続のルールとはまた別の話です。


たとえ父の遺産を多くもらったとしても、母の財産を相続する際に
我慢を強いられる必要はありません。こうしたルールを知らずに


遺産を「通算」できるつもりで不利な相続を安易に受け入れると、
「こんなはずじゃなかった」と後悔する羽目になりかねません。


                         
                                  
        

相続 (1)

category - 花  庭
2015/ 03/ 06
                 
相続に「繰り越し」なし 安易な妥協は禁物

(子の1人である)○○は父の財産を多めにもらったんだから、

母が亡くなるときの相続では多少遠慮してもらわないと」。

遺産分けを巡ってよく出る意見です。確かに相続財産全体でバランスを

とりたいという気持ちは分からなくもありませんが、法律的には

こうした言い分が通るとは限りません。父と母の遺産は「我が家のもの」と

ひとくくりにできない別物だからです。

 父を亡くした長男(A男)と長女(B子)が、父名義の実家の土地・建物と、

B子一家が家を立てている別な所有地をどう相続するか、

母を交えて話し合っています。



A男  「実家にはそのまま母さんが住むから、

土地も含めて母さん名義にすればいいよね。

問題は、B子の家がある土地をどうするかだ」


 
母  「そりゃあ住んでいるB子が引き継ぐのがいちばんよ」

 
B子  「それがありがたいわ。私たち名義の家がある土地だけもらっても、
兄さんも不便でしょう」

 
A男  「そうはいっても、あのあたりはそこそこの一等地なんだぞ。

母さんはいいとして、きょうだいで父さんの土地をおまえだけ

相続するのは、あまりに不公平じゃないか」

 

  「その代わり、私が死んだらこの実家をA男が

継げばいいじゃない。今回は譲ってあげなさいよ」

 
A男  「うーん……」


 この会話の根底にあるのは、父と母で別々に起こる相続を一連のものと

とらえて「トータルでバランスがとれればいいのではないか」

という考え方です。いわば「父が残した財産=我が家の財産」で、

いったんそれらが母やB子の名義になっても、実家がいずれA男のものに

なれば結果的にきょうだい間の釣り合いはとれるだろう、というわけです。